日本社会の疑問を考えるブログ

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映画「新聞記者」から見える日本の裏側

 先日、映画「新聞記者」を見た。こちらはある程度脚色してはいるものの、いま日本で起こっていることを如実に表すものだった。ここでは、気になったいくつかの点についてまとめてみたい。

 

 

映画のあらすじ

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新聞記者・吉岡(東京新聞・望月衣塑子記者がモデル)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。

(画像・あらすじともに公式サイトより引用)

shimbunkisha.jp

 

 原作はこちら。映画は新設大学院大学計画への潜入捜査のみ(脚色あり)を取り上げているが、こちらは望月記者の入社時からの手記となっている。

新聞記者 (角川新書)

新聞記者 (角川新書)

 

 

レイプを訴えても…

 映画初盤で、レイプされた女性に対し根拠のない誹謗中傷が相次いだ。このように、レイプを訴えた際、逆に誹謗中傷されることをセカンドレイプという。

 

 一見日本では諸外国と比べこのような性犯罪の件数が少ないように見える。しかし、実態は全くの逆である。そもそも警察に訴えても相手にはしてもらえない。適当にはぐらかされるだけだ。裁判に持ち込んでも、なぜか加害者が無罪になる。被害者が目を開けていたから無罪、慶応大在学だったので無罪、首相と親しい人物だったから無罪、と。次の手段として、「#拡散希望ハッシュタグをつけてTwitterで訴えたらわけのわからない誹謗中傷が相次ぐ。「私はそれくらいされたのにあなたは根性がない」という嫉妬心によるものから「そのくらい我慢しろ」と開き直る加害者予備軍、そして極めつけは事件と関係のない誹謗中傷(容姿や、性格、家族などわかりようのないことを貶すなど)をする者までいる。このように、日本は官民ともになって、犯罪被害者をあの手この手で押さえつけることで表面だけの犯罪発生件数を抑えているのである。

 

警視庁公安部の役割と与党ネットサポーターズクラブ

 作中の内閣情報調査室で、このようなやり取りがあった。

「デモ参加者の画像を公安に渡せ。経歴は後で洗い出す。それと、この情報を与党ネットサポーターズクラブにもまわせ」

  この「デモ」とは総理大臣の退陣を求めるものである。現実でも、(私服で分かりにくいが)デモの周りに公安部の人間が複数いる。当然彼らを監視しているのである。しかし不思議と右翼の害戦街宣車の周りにはこういうのは見当たらない。結局公安は我々の平穏な生活を守る組織ではない。あくまで彼らが守るのは総理大臣をはじめとする権力だ。従って彼らがしていることは「権力を批判・反発するものを監視・排除する簡単なお仕事」なのである。「簡単なお仕事」というのは、権力に疑問を持たず機械化し、おまけに民衆は何も考えず、ネットサポーターズクラブという宣伝役がいるから、ということである。なお、ネットサポーターズクラブというのは、総理大臣の下にいるボランティアのことで、総理大臣をはじめとした権力のプロパガンダを行い、場合により他国や政党その他に対するネガティブキャンペーンを行うものである。根拠のない誹謗中傷を行う場合もある。その論拠としては出所不明のインターネット情報や発信元が悪意をもって書いているものも含まれる。もちろん、これに相当する日本の組織は、「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」である。

 

 ちなみに、内閣情報調査室がやっていることは作中でも現実でもスパイ行為そのものである。作中では官僚が新聞社に出向しているが、これも同様の理由である。

 

内閣府認可大学/軍事研究を行う大学

 この映画で一番問題となったことである。

新聞社のもとに新設大学院大学*1の設置計画がリークされた。その中には「高度な医療系人材」とあるものの、バイオセーフティレベル4*2の病原菌を扱い、生物・化学兵器の開発を見据えた軍事研究をおこなうとあった。

 作中では大学院大学といったり、設置予定地を北陸といったりでうまくごまかしてはいるが、これは言うまでもなく岡山理科大学獣医学部(加計学園)がモデルだ。

 

 大学の設置認可申請は、文部科学省に行うものである。またこの審査は他の機関とは独立に行われなければならない。しかし加計学園の場合、総理大臣、つまり内閣が文科省に圧力をかけ無理やり認可させた。*3*4これは事実上内閣府認可といってよい。

 

 また、獣医学部自体供給過多のため新設が認められない状況であった(文科省告示45号)。しかし、

  • 新たなニーズがあること
  • 獣医師養成以外の目的があること
  • 既存の学部学科での対応が困難な場合
  • 獣医師の需要の動向により

例外が認められるとあった(石破4条件)。しかし、石破氏は自身のブログ(2017/06/02)にて初めの条件に「生物化学兵器に対する対応」と追記し、さらにHPイシバチャンネル(2017/06/27)で「生物化学兵器に対応する軍人が要る」と発言した。*5このことや石破氏の度重なる戦争発言を考えると、加計学園自体が生物化学兵器を開発する拠点となってもおかしくない。

 

 ちなみに、防衛省が積極的に軍事研究をさせようとしているのは周知の事実である。例えば東京農工大などが積極的な姿勢を示している。大学が軍事に牛耳られた場合、(今までもしているが)政府が今まで以上に研究に介入し、軍産複合体に牛耳られる危険がある。大学など研究機関は自由かつ平和でオープンな環境でなければならないはずだが、軍事転用に伴いそれが不可能となる。*6

 

国家を疑えないネトウヨ

 主人公の記者が、取材で得られた情報をTwitterに書き込むシーンがある。その時のリプライは賛否両論で、やはりネトウヨと思しき人に否定されてもいた。

 

 国家の闇が暴かれたとき、絶対にそれを信用しないのがネトウヨである。権力でもみ消すことが出来るのだから、初めの動機はいろいろあるにせよ、どこかしらで不正が始まり、どこかしらで腐敗する。従って腐敗がないと考えるのは、アイドルはウンコしないと同レベルの思い違いである。しかしネトウヨはその腐敗が存在しないと本気で思い込んでいるようだ。

 

 したがって、腐敗していると言われるのは他国(主に韓国)や左翼・日教組組合員といった日本を貶めている(と勝手に思っている)個人または団体が、その目的を達成するため行っているためである、と思い込んでいる。

 

 同様に、ネトウヨは「中立」の概念を勘違いしている。「中立」というのは、どこの機関や思想とも癒着せず、その期間が独自に得られた情報(もちろん、賛成・反対意見両方含む)を基に独立して行った思考のことである(要するにBBCなどが当てはまる)。従って権力に関する報道の場合は、それに有利な報道がされることも不利な報道がされることもある。しかし、ネトウヨの場合先述したように、権力の腐敗がないと勘違いしているため、権力(国家)に不利な報道は全て中立ではない偏向報道であり、ヘイト丸出しで自国翼賛ばかりしている、戦時中の報道も真っ青なメディアこそが中立と早合点してしまうのである。

 

邪魔者は排除

 作中では、大学院大学設置計画をリークしたのは元外交官の男性と示唆されており、それにより自殺をする描写がある。また、最後にその証拠となる情報をリークした官僚が海外赴任を勧められる場面や、政府機関への不正融資を暴いた主人公の父親が自殺したことを示唆するところがある。

 

 結局は日本の国家機関というのは「トカゲの尻尾切り」と「邪魔者は排除」を第一に行動しているのである。不正がばれたら誰かに責任を押し付けて排除することで表面上だけクリーンなように見せかけ、またそれを暴いたものはあらゆる権力で弾圧する。家永裁判をはじめとする教科書検定、各メディアのトップと会談をしたり放送免許をはく奪することを示唆する安倍晋三などがこれに当てはまる。

 

黒い眼の羊

 リークされた資料に、黒い眼の羊が描かれていた。そして、それはダグウェイ羊事件(Dugway Sheep Insident)*7*8をモチーフにしたものであった。

 

 国民やメディアが権力を監視する機構が確立しているアメリカでは、ダグウェイ羊事件の時、その情報がリークされ大問題となった。しかし日本ではリークされることはあるものの権力者はあの手この手で言い逃れをして、また国民も全く興味を示さず、結局は追及できずに終わってしまう。

 

 黒い眼の羊はそんな国民を風刺したものと考えられる。

 

建前だけの民主主義

 ラストシーンで、このようなセリフがあった。

 「この国の民主主義は形だけでいいんだ」

 一見日本は民主主義国家に見える。ここで、民主主義の定義を考えると、「国民に権力がある状態」「自由平等を尊重する」などと言ったものであるが、日本の場合、これを踏みにじろうとする政治家が(やはり自民党に)多くいる。

  まだまだひどい例はあるが、このくらいにしておく。このように、端から民主主義を否定する連中が日本のトップで権力を握っているわけだ。また、国民そのものも「民主偽によって民主主義が破壊されようともそれは民意のうち」と考えるため、ますます権力者が独裁に踏み出す。

 

 さらに、民主主義の重要な要素である選挙にこのような不正があった。

  日本共産党に投票したはずなのに、なぜかそれがノーカウントとなっている。つまり、ここで不正が起きている。また、期日前投票も同様に不正の温床になっていると指摘されている。このように、一見民主主義に見えるが、結局は建前だけなのが日本という国なのである。

 

結局は海外メディアを利用するしかないのかも

  主人公が英語を話す場面があったり、「誰よりも自分を信じ疑え」という格言がある。また、日本のメディアは権力監視装置の役割を果たしていない。そうなると日本のメディアに期待するのは無理がある。

 

 となると、BBCといった海外メディアにシフトするのが良いと考える。海外メディアは基本的に権力に盲従する姿勢を見せないので、特派員の方がより鋭い情報を手に入れてくれるだろう。また、彼らにリークすることで、こういった日本の闇を世界中に伝達してくれるだろう。そうすることで外部からの圧力をかけ、無理やりにでも更生させる。方法としてはこのくらいしかない。

 

 同様に、これを読むために語学力をつける。日本語で情報収集しようとすると変なまとめサイト掲示板、多数の単語を羅列してある、調べたいこととは無関係なページなどに引っ掛かってしまう。しかしブラウザの設定を英語にすると、的確な情報を1ページ以内に提示してくれる。また学術論文へのリンクも貼ってくれる。このため、情報収集減としては最強のメディアになるのである。

*1:学士課程を持たず、学生を大学院から募集する研究教育機関。例えば総合研究大学院大学(神奈川県逗子市葉山町)などがある。

*2:それによる感染症の有効な治療法が存在せず、最も危険な病原菌が指定される。現在ではエボラウィルス、マールブルグウィルス、クリミア・コンゴ出血熱ウィルス、アレナウィルス、天然痘ウィルスの5種類のみ。これを扱える施設は日本では国立感染症研究所村山庁舎と理化学研究所筑波キャンパスのみ。取扱施設はインターロック機構(2重)や安全キャビネット、専用暴露防止器具などで物理的に封じ込めなければならない。

*3:主張/加計学園学部新設/安倍「忖度」政治疑惑に答えよ

*4:加計学園問題とは? これまでの経緯、浮上した疑惑を振り返る | ハフポスト

*5:加計学園問題と新たな軍学共同 | ハフポスト

*6:https://www.kyotounivfreedom.com/old/wp-content/uploads/2017/10/20171018_ikeuchi.pdf

*7:米国ユタ州に米軍が保有する化学兵器の実験施設があり、そこで生成されたVXガスを散布した結果、ある農場の羊が大量死したもの。その後、米国民主党議員によって国防総省の文書がリークされ、当該実験が事実であるとわかった。

*8:How the Death of 6,000 Sheep Spurred the American Debate on Chemical Weapons | History | Smithsonian

歴史に対する正しい向き合い方

 自分たちに都合の悪い歴史があると、いくら事実だとしても自虐史だの韓国の陰謀だのとイチャモンをつけて隠そうとする人がいる。こういった人はただ2ちゃんねるなどに書き込むネトウヨから有名人・政治家までいる。そこで、ここでは彼らを批判するとともに、正しい歴史との向き合い方を考えたい。

 

 

歴史は動かしようのない事実と認識する

 単刀直入に言えば、いくらそれが自分にとって都合が悪かろうと、すべて事実ということだ。

 

 家永教科書裁判でも問題となった731部隊など、言い出すと自虐史だなんだのと文句をつけたり、国家権力を用いてそれを無理やり隠そうとする輩がいるが、そんなことをしても歴史は変わらない。ただ隠す輩の本性が知れる、ということだけだ。

 

 例えば、先ほど挙げた731部隊を知っていますか?旧日本軍が東南アジアを占領下に置き、大量虐殺を働いたことを知ってますか?あるいは知ってても嘘だと思っていませんか?ということである。

 

 隠さず、都合の良いように捏造しようとも同じだ。もちろん、研究者への科研費を削減するなど、権力を用いてそのような見方を制限したとしても同じだ。せいぜい日本は歴史に真摯に向き合おうともせず、過去を隠すか、捏造する、あるいは無理やり正当化して反省せず開き直る最低な国家で、そうする国民は史上最低の人間だ、ということになるが。

 

 つまり、何をしようが歴史は変わらない。そうなったらどうすればいいか。答えは簡単で、それを受け入れるしか方法はない。後述するが、受け入れることで反省し、未来ではどうすればよいかを考える糧にするのである。

 

歴史を都合よく解釈しない

 「しっかり歴史をみているだろう!」という人に言うが、それは自分にとって都合の良いものだけではないですか?と問いたい。都合の悪いものも含めて歴史なのだから、それらに対してどう向き合っているか、といっておきたい。

 

 例えば、韓国併合が挙げられる。戦時中日本軍が韓国を侵略した話で、学会でも有力な説である。が、一部の評論家が最近になって「韓国併合で韓国は救われた」などと正当化しだしているのである。侵略されて韓国側はいい迷惑だというのに、これはいかがなものか。DV夫と何ら変わらない。

 

 このように、不利な歴史を隠すことが出来ないとわかると、突如として正当化しだすのも日本人の悪い癖といえよう。しかし、どう考えても正当化したところで無理がある。だましていられるのも時間の問題で、いずれメッキがはがれる。

 

 そうなるのであれば、初めから正当化などしない方がいい。現代のグローバルな倫理観に照らし合わせ、それに反するのであれば厳しく断罪する。当然自分はそのようなことを行わず、また礼賛や正当化は一切行わない。さらに、このようなことを再発させないためにはどうすればよいのかを考え実行する。

 

対立する2つの説があるなら自分に不利な方を信じる

 歴史学者の間で意見が対立するものもあるだろう。歴史は各人の思想が大いに反映されるので、その学者が官邸御用学者だったりネトウヨのような人ならば日本礼賛・韓国ヘイトメディアのようになり、批判すべきと考えているなら批判的な解釈になるだろう。

 

 このような場合、互いに矛盾する意見が共存する。ネトウヨのような人が論じていれば支離滅裂さがわかり簡単にどちらを信じてよいかわかるのだが、学者や書籍を著すような有名人の場合言っていることに反論がしづらいためどちらを信じていいかわからない。

 

 こういう時は、自分(というか日本)に対して不利になるような歴史を信じるべきだ。例えば先ほどの731部隊の例でいえば、「731部隊は本当だ」と「731部隊は嘘だ」では前者を信じる。また、神風特攻隊を例にとれば、「お国のためを思い多くの若者が命をささげた」でなく「本当は人生を謳歌したいのに、国家に強制されたうえ日本人特有の同調圧力により自爆テロをさせられた」と考えるべきだろう。

 

 なぜ不利な方を信じた方がよいのか?それは、自分に有利な方を信じても自己満足にしかならないためである。また、もし真実にもかかわらず不利なことを無視した場合、貴重な反省の機会を失うことになるためである。

 

 例えていえば自国礼賛は砂糖や化学調味料たっぷりのコーラ、後者は自然由来の青汁だ。つまり、前者は自分が気持ちよくなるだけで何の効果もないか、逆に自分が思い上がる原因になる。しかし後者は反省や進歩の機会を与えてくれる。

 

深く反省し未来につなげる

 以上、いくつか歴史への望ましい向き合い方を述べたが、自分に不利なものを含め歴史を受け止めさえすればそれでよいのではではない。深く反省するのだ。現代の倫理観に照らし合わせ、何がいけないのか、何が原因でこのようなことをしたのかを深く考察する。この時は、ヘイトビジネスに引っ掛からないよう、オフラインにして一人でじっくりと考えるのだ。

 

 そうして、原因がわかったら、これを防ぐためには、もし自分ならばどうすればよかったのかを考える。決して他人がどうこう、という結論にしない。未来に向け、それを起きないようにするには、万が一起きてしまった際はどのようにして止めるか、我々には何ができるかを考えるのだ。

 

歴史はあなたのプライドのためにあるのではありません

 さて、ここまで書いて、自虐史観だとか陰謀論だとかいうのは、結局反省もできないくせに無能なおっさんが、大きなものにすがりついて俺スゲーと自己満足したいからこんなことをしているのかな、と思った。だが、言っておく。歴史はあなたがオナニーをするためにあるのではない。深く反省し、未来への糧とするための道具だ。自分のプライドが許せないからといって勝手に歴史を隠したり、好き勝手にいじろうとするな。というか、いじれないのが歴史だといい加減認識しろ。もしよりよくしたいなら、他国をやっつけてやるとかどうにもならないなら周りを巻き込んで自滅してやるとか考えず、今努力して未来をよりよくすればいいのではないだろうか。

歴史的に考えるとはどういうことか

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戦争・平和・国際組織: 歴史的に考える

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安倍の言葉に騙されてはならない

 内閣総理大臣に就任し7年以上たつ人物・安倍晋三。彼は言葉巧みに国民を騙そうとしてくる。ここではその一部を紹介し、それを批判したい。

 

 

曖昧な言葉遣い

 事実を正確かつ厳密に言うと、どうしても現政権の問題が浮き彫りになる。そうなるとさすがに馬鹿な日本人も真実を知り、安倍政権に疑問を呈する。元々自民党というか安倍政権は、国民の馬鹿さ加減を利用して政権を続けているのだから、それを知られるか否かは死活問題だ。従って、彼らは事実を正確にあるいは厳密に言うことはない。その代わり、曖昧な言葉を使ってこちらを騙そうとしてくるのである。具体的には

「多様な働き方」

 これは、同一労働同一賃金や正規・非正規労働者間の格差があることに関して言い訳をしたものだ。もとはといえば自民党はこういった格差をなくすことを公約に掲げていたが、全くできていないのでこういい逃れたのである。

 

「新しい判断」

 公約が全く達成できなかったことを棚に上げているだけである。それを臨機応変に判断できたと勝手に判断し、またそれで国民を欺こうとしているのである。

 

「一億総活躍」

 「性別や年齢、障害・性的指向などにかかわらず誰もが健康で文化的な生活を送れるような働き方ができる」と感じられるだろう。だが、担当大臣ポストを新たに作ったにもかかわらず、全く効果がない。非正規は明日の生活もままならず、正社員は心身に重大な悪影響をもたらす労働をさせられている。それどころか、高度プロフェッショナル制度を制定した。この適用範囲を拡大されることは論を待たない。結局「一億総活躍」というのは「一億総奴隷」なのである。

 障害者や性的マイノリティの生活も改善したとは言えない。おまけに安倍は「カミングアウトしなくてもいい社会を作る」と、カミングアウトしたら社会的に抹殺するととれる発言をしている。

 

 これらの例は以下のツイートから引用した。

 

共通理解とは異なる言葉遣い

 我々になじみの深い言葉を使ってはいるが、我々とは異なる意味で使っているため、国民が勘違いしてしまうものである。これについては、いくつかの例を挙げ、過去に記事にした。

fuckjapaneseculture.hatenablog.com

 ここでは、一般的で程度の酷いもののみを取り上げたが、またまた安倍がとんでもないことを言った。

  「100年安心」

 年金のキャッチコピーで言われることである。これだけ聞くと、「100歳まで生きても十分暮らしが維持できるだけもらえる」とか「100年もらい続けても十分もらえる」あたりを想像するだろう。しかし、この言葉はまったく異なる意味で使われていた。実際は単にこの制度が100年もつだけという、極めて低レベルなものであった。そんなものは誰でもできる。ただ制度(名前)だけ作っておけば、あとは何もしなくてもいいのだから。極端な例、徴収制度だけ作って(第2の税金、という感じ)支給しない、なんてことでもこれが言えてしまうのである。

 

嘘つきが数字を使った例

 「数字はウソをつかないが、ウソつきは数字を使う」―――言わずと知れた数学の名言である。すなわち、数字そのものは事実を淡々と語るものであるが、その都合の良い部分だけ解釈する、あるいは無関係な情報を勝手に結びつけ、その相関関係から因果関係を勝手に捏造することなどを働くものが存在する、ということである。

 安倍の場合、有効求人倍率や株価、所得について語っていたが、いずれも嘘なので注意が必要だ。

 

 まず、有効求人倍率について考えよう。確かに有効求人倍率、つまり全企業の求人倍率は1倍を超し、総計では人手不足、ということにはなっている。しかし、これはあくまで平均でしかない。これを高くしている原因は、従業員数人程度の零細企業で、これだけの求人倍率は7倍以上である。こういった企業は競争に勝てる見込みは非常に少ない。従ってすぐに倒産する可能性が高い。また、法律で決まっていてもそうすると倒産するため残業代の支払いや残業の削減などを避けることや労基法順守が出来ない。よってここで働くことは心身上の問題につながる。先ほど述べた一億総活躍そのものであるが、こういう企業を提示され「ほら働き口があるんだから働けよ」というのは暴論である。なお、従業員5,000人以上のいわゆる大企業の求人倍率は0.3倍程度である。

 

 株価については、日経平均株価のことを指している。そもそも日経平均株価自体が日本企業の中で業績の特に良い東証一部からさらに厳選されて選ばれたブルーチップ225社であるので、日本全体の景気を表しているとはいいがたい。また、これも「平均」であるから、どこかの企業の株価だけを大幅に上げれば平均が吊り上がる。さらに、日銀がETFを大量買い付けしているため、それによって上がっているだけで実際に投資家が魅力的と思っているわけではない。実際、日本の株式市場は外国人投機家によるギャンブル性の強い相場となっている。

 

 所得については、ほんの一部の労働者の事例を取り上げていたにすぎない。確かに、賃金が上昇している労働者も存在する。ただし、数%程度である。それ以外は軒並み下落している。当然平均も大幅に下落している。しかし、安倍は「賃金は上がった」などとほざく。ここで注意したいのはこのセリフ、主体がないことだ。つまり誰のことかわからない。ただほんの一部のサンプルが上がっただけなのに、平均だとか大多数などとか考えてしまうと、コロっと騙される。

 

ウソつきは数字を使う (青春新書INTELLIGENCE)

ウソつきは数字を使う (青春新書INTELLIGENCE)

 

  

脅し・非難・被害妄想

 人を扇動する手段として、よくあるのが反対派を貶し脅したり、、あるいは自身は反対派に脅かされているかのような発言を繰り返しすることで同情を誘うものである。安倍の場合

「こんな人たち」

 演説周辺にいた反対派に対して発言したことである。大衆を扇動するために反対派を過度に貶している。また、「ボクは反対派に圧力をかけられている」という被害妄想をし国民の同情を誘おうとしている。

 

「悪夢の民主党政権

 選挙前になるとこのようなことを言う場面が増えた。民主党の方が円高で消費行動や海外への投資ができたり、実質賃金が高い。経済面以外でも報道の自由度が高く、メディアによる政府批判が容易にできていた。これ以外にもいろいろ良かった点はある。しかし、安倍政権はその真逆である。どこが悪夢といえるのだろうか。こちらの方が悪夢としか言えない。それより、自政権の良いところは言えないのだろうか。それが存在しないから下に置けるものを作って叩いているだけだろう。

 

「印象操作はやめていただきたい」

 党首討論で、選択的夫婦別姓を認める人は挙手しろ、といわれ挙手したのは安倍以外全員であった。そもそも夫婦別姓自体何の問題もないうえ、改姓した側の不利益を考えると別姓の方が合理的だ。したがってこれはどの党も賛成したのだが、自民党だけ反対ということだ。これで自民党は、様々な権利を認めない「古き良き日本」に執着していることがわかるのだが、それに対し言ったことがこの「印象操作はやめていただきたい」だ。言うまでもなく事実であり、この場で自民党の真実がわかっただけなのに、何が「印象操作」だ。

 

騙されるな、さもなくば身の危険が

 以上、安倍が今まで使ってきたセリフを内容の種類ごとにまとめた。このように文面にしてみて、ゆっくり考えてみると、論証に不十分な点があったり明らかに事実と反することを言っているとわかる。安倍の言うことと同じことを返すが、「こんな人」を総理大臣にしてよいのだろうか。日本の政治を任せてもよいのだろうか。

 

 また、安倍や自民党の人間は一見当たり障りのないことを言っているが、共謀罪に続き改憲からの自衛隊憲法明記をくわえ、石破幹事長に至っては徴兵制を肯定している。これは改憲に伴い、我々が戦地に赴き、殺し殺されの未来があることを示唆している。また、別の議員は「国民主権基本的人権・平和主義を廃止しなければ自主憲法とは言わない」などとこれらを破壊する意思があることを示している。従って、安倍の言うことに騙されて自民党すなわち安倍を支持するということは我々の命自体を危機にさらすものと考えられる。

 

もう一度問う。「こんな人たち」に政治を任せてもよいのだろうか。よく聞こう。よく考えよう。そこに答えはある。