日本社会の疑問を考えるブログ

日本社会で生きづらさを感じるすべての人へ…

だからぁ、子供を産まないのは「リスク低減措置」なんですってば

 先日、「女性は『子作りマシーン』じゃないですよ、議員さん」という記事を書き、そこで、養育現場の実際を知らずに女性を子供を産む機械程度にしか思っていない議員を批判した。一方でここでは、なぜ子供を産まないのか、考えたい。

 

 

はじめに

 こんな記事を見かけた。

www.msn.com

  この記事では、自民党・二階幹事長が「子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と発言し海外のメディア*1からも問題視されたことを述べている。日本は子供を産み育てるのが難しい環境をしているにもかかわらず、それを無視して産めよ殖やせよ、産む機械だ、産まない女は身勝手だと叫んでいるわけである。

 

子供を産まない理由

 ここでは、子供を産まない理由を3つ考え、子供を産まないことはリスク低減措置であることを示したい。

 産んだところで養育費が準備できない

  子供を産んで育てるには数千万円の消耗投資が必要である。結婚してからの生活費から始まり、出産時及び後の産婦人科医に対する診療報酬、生まれた乳児の生活費、学費が必要だ。*2そのため、これら必要額を何らかの形での収入に頼るしかない。収入源として投資、アフィリエイトなどもがあげられるが、それを考える人は少ないだろう。したがって給与所得が主収入源になるのだが、現在の日本の給与水準と物価及び養育費から考えると、出産し子育てをするというのは金銭的に非常に窮屈だ(昔とはこれら水準が違うので、子育ての大変さもだいぶ違う)。なお、補助金はとても少額のため、ほとんど役に立たない。したがってこういった予算が準備できないのに見切り発車で出産をするというのはあまりに浅はかな考え方といえよう。

 

保育園・幼稚園の絶対数が少ない

 子を家に放置していてはその子の命が危ない。内部環境や勝手に外に出ることによって事故死する可能性もあるし、急病の時などは対応できない。したがって保育園・幼稚園に入園させる必要がある。しかし地域の反対の声や保育士・幼稚園教諭が激務薄給なため人手不足であることなどにより、これらが増設できず入園審査基準がとても厳しいものになったり、抽選倍率がとても高くなったりする。その結果入園不許可となってしまうことも多々ある。これでは子供を家で養育するしかなくなり、比較的安定収入が得られる正社員は絶望的だ。*3

簡単に言うと…

子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。

  ということである。なお、これは過去にはてな匿名ダイアリーに投稿され、流行語になるほど話題となった「保育園落ちた日本死ね!!!」である。だが当時の議員(もちろん自民党議員である)は「死ね」という単語そのもの*4をやり玉に挙げるだけでこの投稿の内容やどんな原因があるのか、またこれに関係した社会問題について全く議論・解決できていなかった。*5一方で当該投稿のコメント欄にも社畜菌に汚染された奴隷の呪詛も見受けられる。なんだか「日本が嫌なら北朝鮮へ行けば?」だとか。いや、投稿者は日本が生きやすくなるようにしろと言っているわけで、どんな国よりもクソとは言っていない。まぁ結局は自分と同じかそれ以上に苦しい思いをしていないと気が済まない日本人のお家芸に終始しているだけだが。何度も言っているが、なぜ日本はヨーロッパより社会制度が遅れているのでしょうかねぇ…?

 

 産んだら税金がかかる

 結婚についても同じことが言えるが、何せ養育費以外にも税金がかかってくる。しかし出産しなければこれはかからない。単純に経済合理性を追求しているだけである。

 

子供を産んだところでリスク過大だ

 子供を作らない理由は以上の3つ以外にもいろいろあるが、すべて書くととても冗長な記事となるのでこれまでにする。数々の解決されていない妨害要因があるため、日本で子供を産むということはとてもリスクの高い行為である。子孫を残せるとは言うが、それができてうれしいだとか彼らからの仕送りだとかが来るメリットがあるが、前に自分たちが息絶えてしまっては元も子もない。こういった収入を期待するならば養育費にしようと思った分を投資にでも回して配当や売買利益で稼いでいった方がよっぽど賢明である。

 なぜそれにもかかわらずこんなことが叫ばれているのか?それは単純だ。「エライと思われている人」がおまんま食い上げになるからだ。そいつらが飢えようが死のうがこっちには何の問題もない。*6だから産まなかったところで何のリスクもない。介護云々とはいうが、子供を作ったにしても病院で死ぬことは大して変わらないだろうし、新卒主義が蔓延した日本では介護離職により経済的に困窮する。結果殺人事件が起こることだってある。

 したがって子供を作らないという選択は単純にリスクを軽減するための作戦である。子供を作ってほしければ補助金を月2-30万円以上にし、保育園・幼稚園を増設したのち通常勤務時の8-9割程度が支給される産・育休を会社の都合によらず取れ、かつ取らせなかった場合には営業停止等の罰則をつけるといった社会保障を充実させなければならない。念のため言っておきますが、あなたが自分ひとりでできたからと言ってこちらができるとは限りません。あと自分の苦しみを人に押し付けないように。…え?社会保障をするには予算が足りない?うーん。じゃあ今までやってきた金持ち・会社優遇政策をやめて直接税の割合を増やしましょう。それと、君たち「エラそうだけどそう思われているだけで実際はそうでもない人」の豪邸とか首相官邸・国会議事堂などを担保にして東京スター銀行の不動産活用ローンを契約しましょう。そうしたら少しくらいは予算が捻出できるから。

*1:当該記事では英国The Guardian、The Independent、The Telegraphおよび米国Wall Street Journalを例示している。

*2:無料ではない高等学校以上は行かせなくてもいいだろうという方に指摘しておくが、仮に中卒で働かせた場合、スポーツ選手や職人などといったリスクの非常に高い職業しかない。こうなっては子がかわいそうであり、だとするとやはり産まない方がよい。

*3:パートで働け甘えんなカスという方のために一応言っておくが、パートで働くより、正社員で働いて入園させた方が金銭的に余裕ができる。

*4:なお、この単語はタイトルでしか使われていない。

*5:これを「野党が足を引っ張るからだ」と言っている方に、数の暴力を用いた強行採決ができるほど自民党は圧倒的多数のため、こういったことを考えていたらその手の法案を成立させられることを一応指摘しておく。

*6:もっと言えば、今度は死んだそいつらの代わりに自分たちが「本当にエライ人」になればよい。あるいは、直接民主制を採用する、それか思い切ってこの腐った国を破壊してもいいだろう。スクラップアンドビルドでもいいし、スクラップして終わり(無政府状態)でもよい。