Fuck Japanese Culture!!!

最近各種メディアでは執拗な日本礼賛がブームとなっている。そこで、ここではあえて日本文化の問題点を取り上げ、それについての批判を行う。

日本の研究開発環境の酷さ

 前回、日本の人材流出について、労働環境の面から書いた。その記事の初めで、木野寿紀さんのブログ「エストニア共和国より愛をこめて」の以下の記事を取り上げた。
www.from-estonia-with-love.net
木野寿紀さんはその記事で研究開発環境について触れていたが、その酷さを大学院生の立場から、各機関およびその研究室の状況を主眼に置き、改めて考える。

日本の大学から考える問題点

 「研究機関」といえば、まず大学が思い浮かぶだろう。同時に、若いころから研究開発環境を体験できるところとしては、ここぐらいしかなく、企業の研究所などを源となっているのも大学である。したがって、ここが酷さの原因となると思われる。

学生の経済的理由

 これは、木野寿紀さんのブログでも述べられていたことだが、どういうことなのか、大学院(博士後期課程含む)に学費が必要なのである。国立だとしても学部と同額の年額53万円程度かかる。*1大学院生は「勉強」より「研究」が主体となるため、学費減免で、むしろ給料をもらえるはずだ。実際、欧米各国では修士課程は学部より授業料が格安で、*2博士課程は授業料無料、さらには給料のほか様々な「給付型の」奨学金(scholarship)*3・奨励金・研究補助費がある。学部1年から国立だったとしても、博士3年まで9年間、約540万円かかる。

特別研究員制度の罠

 この制度自体聞いたことがない方も多いだろう。簡単に当制度を説明しておくと、

学部4年もしくは修士1年から修士2年までの研究業績がすぐれているものに対し、博士後期課程の3年間が任期の「DC1」
もしくは、博士1年までの業績を勘案する代わり支給期間がDC1より1年短い「DC2」
という枠があり、内定した場合、「日本学術振興会特別研究員」として、月額20万円がもらえる

 ものである。一見この制度、学生なのに金がもらえる最高の制度に思われがちだが、

  • 月支給額20万円は教育関連で非課税になるかと思いきや「課税対象」。迷惑なことに扶養からはずれるので、手元には18万円程度しか残らない。
  • 学費はそのまま。従ってここから払うしかない。それどころか、特別研究員は学費減免対象から外す、という規定があることも少なくない。
  • 他の経済的支援を受けることやお金儲けをすることができない。つまり、物価の高い日本でこれだけで暮らせ、ということである。

 結局20万円もほとんど残らない。特に3つ目の問題についてだが、研究に関連があるからと自分の研究を生かして特許を取得し、そこから収入を得るのもダメだということである。自分の研究を特許に生かすのも重要な経験だと思われるのだが…。それ以外にも、海外での研修・逃亡を制限するであろうことが読み取れる部分がある。というのも、応募時に記入する業績報告書に海外での研修予定がある場合は記入するように指示があるからである。
 つまりこの制度、月給20万円という、学生アルバイトではありえない金額で学生をだまし、実際は経済的に困窮させることで日本の酷い研究環境に縛り付けるための制度である。やっていることがブラック企業と同じだ。
 

研究活動以外をさせる教員

 これは、日野瑛太郎さんの「脱社畜ブログ」の以下の記事でも語られていたことである。
dennou-kurage.hatenablog.com
 当該記事では、研究活動ではない使役の例として、「研究室旅行(学会とは無関係)の手配」「ホームページの更新」「飲み会の幹事」があげられていた。他にも研究室の掃除や、強制参加と思われる飲み会(幹事ではなく、参加する側。私が受け取ったメールには「参加者は申し出てください」でなく「不参加者は申し出てください」だった)などがあげられるが、本来こういった活動は研究とは無関係であり、「労働」に値する。つまり、それを専門に任されたスタッフが行うか、学生にやらせるにしても「学生側の拒否権が留保された状態で交渉し、労働契約を結んだうえで、賃金と引き換えに行っていただく」べきである。なお、特別研究員の給与は、研究に対するものなので、それで賄おうとしてはならない。
 なのだが、実際は暗黙の了解でそうしなければならないことになっている。私もこのことを訴えたが、「自分で使うところなのだから自分たちで無償でやるのは当然」と言われる始末であった。*4それどころか、教員の中には、この労働自体も「研究教育活動の一環」とする人もいるらしい。このような「労働」のせいで、本来研究に充てるべき時間と体力が圧迫される。

研究資金および研究員のポストの少なさ

 研究するためには当然お金が必要だ。が、日本の場合こういった研究費がもともと少なく、さらに減らされている。また、日本の場合応用に直結するような学問でなければ廃止する傾向に最近なってきた。一方で人員についても不足している。一応かつて政府が対策として大学院の増設を進めたが、受け皿の用意や、専門性のある人の偏見の解消をしていなかったため、任期切れのポスドク研究員が大量に生まれ、彼らに残された道はフリーターか無職、下手すると自殺しか道が残されない状況になってしまった。結局政府は人員を減らすしかなくなってしまったのである。

全般的な組織中の問題

メンバ-シップ型採用

 先に「メンバーシップ型採用」について説明しておく。

「ジョブ型採用」:空きができた特定の職務のところだけ募集をかける。採用活動はその部門の人が行う。
この場合、いつ空きができるのかわからないので、新卒採用は原理的に不可能である。
「メンバーシップ型採用」:会社に入りたい人を、経験・職種・勤務地等条件を限定せずに募集する。採用活動は人事部がまとめて行う。
こちらは、その時空いていたところに振り分ければよいので、新卒一括採用が可能である。

 メンバーシップ型採用自体が、その職務になれたことのない人も入れる制度であるため、全くの素人が研究活動に従事することになる。いや、むしろ日本の場合専門性のある人や経験者は煙たがられる。なんでも既卒・中途は怠け者だとか、専門バカはただの馬鹿だとかほざいて中途採用や博士修了者の採用に異常に消極的であることからそれがわかる。また、採用活動時も全く現場のことを知らない人事部が行うため、その人の適性をうまく見分けることができない。せいぜい「コミュニケーション能力」「協調性」「根性」*5くらいしか聞くことがなく、その専門性への能力はほとんどスルーである。能力を聞くにしても、自分たちに専門知識がないので、自己満足のためだけに求職者を貶す「圧迫面接」くらいしかできない。
 

休憩時間の短さ

 何を勘違いしたのか日本人は、「休む間もなく、常に限界を超えた力で努力するのが成功へとつながる」と思っており、長時間のハイパフォーマンスを要求する。人間よりも働いてくれるはずの機械ですら休ませないと壊れる。にもかかわらず人間に対しそれを要求し、長時間労働や深夜残業・休日出勤などを強いてくる。いや、これからは高度プロフェッショナル制度を悪用して無制限に労働させるだろう。
 なお、休んだところで結果が減るわけではない。その証拠に、フランスの研究機関では、8:00-17:00のうち、昼食を除いた労働時間8時間のうち2時間を休憩に使っているが、それでも実績が落ちていない。

研究業績も特許も組織に横取りされる

 血眼になって努力に努力を重ね、やっと生み出した論文も特許も所属していた組織のもの。この組織は何もしていないのに勝手に横取り。これだと研究する気もなくなる。だから、特許を売る代わりに給料が増えると思いきや、そうでもない。クソ以外の何物でもない。だとしたら適当にやるよな、普通。クソなんだし。実際こんなことを中村修二さんも言っていた。彼は怒りを力にして裁判で当然の権利を勝ち取ったが、なぜか奴隷根性に洗脳された日本人は彼の行動を過激だと思うらしい。

一生治らないかな、この酷さは

 まぁここまで条件がそろってたら研究環境も改善するのは無理だろうね。せいぜいつぶれてくださいとしか言えない。優秀な研究力を持った人は迷わず海外に行くから。だって海外の方が労働者にとって優しいし、業績も出ているからね。もう欧米とか、アジアでもシンガポールは日本のかなり先を言っている。もう見下していたはずの韓国*6にも抜かされるだろう。あぁ愉快だ。何?日本も海外を見習っている?いい加減にしろクソが。あんたたちのやってるのはクソ経営者にとって都合のいい部分だけ海外の真似をしただけだろう。見習ったと言いたいなら労働者に有利な部分(新卒メンバーシップ型採用の廃止、各種休暇を取りやすくすることなど)も見習いやがれカス。

*1:一応国立を標榜している大学でも、「独立行政法人」のため、国立とは言えない。実際、独立行政法人化した後、年額10万円未満だったはずの学費を値上げした。

*2:木野寿紀さんによると、学部でさえも日本より学費が安い国が多いそう。現にフランスなどはタダだ。

*3:日本の場合、たいていは日本学生支援機構の「貸与型」奨学金(student loan)で、給付型にしても出資してくれた企業への就職といった進路を制限するような条件が付いている場合が少なくない。

*4:まあ、暗黙の了解なのだから、破っても何のペナルティーもないけどね。ちなみに私は、7/30に、前期総括研究発表会があり、そのあとに大掃除と飲み会があるのですが、こっそり消えてカラオケにでも行って「楽しきトキメキ」でも歌ってくるつもりです。

*5:これらは、正確には奴隷としての素養のことである。

*6:具体的には韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology, KAIST)など。