ダブルスタンダード大好き日本人(労働編)
得てして日本人はダブルスタンダードが大好きだ。お互い矛盾しているというのに全くそれに気づかず、両方とも正しいと勘違いする知性のなさがうかがえる。ここでは、日本でよくあるダブルスタンダードのうち、労働でありがちなものを挙げる。なお、その他場面でのダブルスタンダードは、記事の構想がまとまり次第執筆する。
- そのぐらいで休むな⇔そのくらいで休む奴は社会に出るな
- ○○国は技術力が高いから給料が高い⇔日本は世界一の技術力
- 経営者目線を持て⇔労働者の分際で…
- 嫌なら辞めろ⇔辞めたやつは税金の無駄
- これも仕事のうち⇔仕事でないから金はあげられない
- 社畜どもは何を考えているのか
そのぐらいで休むな⇔そのくらいで休む奴は社会に出るな
ある日起きたらなんだかだるい。体の節々が痛むし、体の中が暑苦しい。熱を測ると38℃。これでは仕事どころではないので、欠勤するため電話した。*1すると、病欠も有給休暇も使えず、かといって欠勤(無給)になるわけでもなく「38℃ごときで休みだと!?社会人たるものそのくらいで休むな!這ってでも来い!大体俺が若いころは…」というお叱りを受ける。無理してフラフラのまま出勤しても仕事なんか手につかない。それどころか病態は悪化するわ、社内の人に風邪は伝染すわでハイリスク・ノーリターンでしかない。このノータリーンな上司はこういったリスクを考えているのだろうか?
一方でこういったリスクを考えていると「そのくらいで休むなら社会に出るな」と訳の分からないイチャモンをつけてくる奴隷どもがそこかしこといる。あの…。なんで仕事を優先せねばならないのですか?こういった労働は、自分の生活のために労働力を提供しているだけで、生活の一部分にすぎず、別に神聖なものではない。風邪を引いたから遊ぶ約束をしていた友人に断りの連絡をするのと一緒だ。労働は金銭の移動がある分特別だと反論されるが、別にそうでもない。例えば、土地を貸与して金銭をもらっている資本家がいたとして、風邪をひいたら同じことをするであろう。これと同じだ。また、こういったものは代わりの労働者を余裕をもって用意しておくべきで、それができない上司及び経営者は職務怠慢といえるであろう。まったく、従業員にはいろいろ強いておいて自分は何もできていないって、ずいぶん間抜けな話だこと。
さて、ダブルスタンダードの話に戻ろう。風邪をひいて休もうとしたら「そのくらいで休むな」「そのくらいで休むなら社会に出てくるな」と相反していることを言い出す。結局何がしたいの君たちは。そんなに人を縛り付け、さらに排除しようとして。みんなで不幸にならないと気が済まないの?奴隷みたい。あ、奴隷だったか。
○○国は技術力が高いから給料が高い⇔日本は世界一の技術力
日本は物価が世界一高いことで有名だ。が、給料はそうでなく、事実物価がほぼ同水準のスイスより数割低くなっている。というか、先進国中最低水準となっている。*2そのことを言うと、どうやら「日本の技術力は低いから仕方ない」と言って自分をごまかす人がいるそうである。ところがどっこい、今度は「日本の技術は世界一」と今まで言ったことを完全否定する。ねぇねぇ、日本の技術力が低いから給与も低いんでしょ?逆に言えば、技術力が世界一ならば給与も世界一にならないとおかしいのだが、そんなことはない。ここから導ける結論は一つ。「はした金で都合よくこき使われている」それと、「今まで苦しんできたことを否定してしまうとそのチンケなプライドが許さない」ということだ。
経営者目線を持て⇔労働者の分際で…
社畜どもが言うことに「経営者目線を持て」というものがある。そもそも労働者は経営者と同じ報酬をもらっていない。また契約書にもそんなことは書いていないので、プロ意識も経営者目線も不要であるのだが、なぜか経営者と同じ思考・行動をせよとのたまう。しかもこれを言うのは経営者でなく同じ立場の社畜。何考えてるの。ば・か・じゃ・な・い・の?納得できない社畜どもはとりあえず契約書と労働基準法を見直すように。根性で何でもできるならそれもできるだろ?ホラ調べろよ、調べろよ。あと3分で。
一方で、百歩譲って経営者目線を持ってあげたとしよう。だとすると、職責の観点から契約書の改定や報酬の上昇を要求する。すると、「労働者の分際で」とまたまたよくわからないことを言う。では、経営者目線を持ってあげて、頭の足りない経営者のために経営計画の改善案を提出してあげたらやっぱり「労働者の分際で」と。あれぇ?経営者目線を持てといったの誰だっけ?こっちがせっかく貴重な労働時間を割いてまで経営計画を作ってあげてるのに、それを拒否するのって、駄々っ子と変わらないね。というか、そういう考え方だから経営者目線を要求するほど経営が逼迫してるんじゃないの?
嫌なら辞めろ⇔辞めたやつは税金の無駄
労働環境、例えば給与や休暇、オフィスの気温などに問題があったとする。これを交渉すれば「嫌なら辞めろ」の一点張り。それが法律に抵触しても、だ。法も守れないほど労働者にしわ寄せしないといけない職場、よく作ったね!感心だよ。とまぁ、こんなところでは生活できないか、できても労働で心身を壊す。いくら言っても聞かないので転職をしようとした。収入が少ないので生活保護を受給しようとした。やめようがそうでなかろうが、この条件でも受給は可能であるが、やはり奴隷どもがうるさい。なんでも「こいつは税金の無駄だ」なんだと。一体どうしろと?死ねと?それならば、そういう企業にいる労働者全員は全員死ななければいけなくなりますねぇ。だとするとそんな企業は遅かれ早かれ廃業することになりますが…。
これも仕事のうち⇔仕事でないから金はあげられない
これは、勤務時間外にある社内行事やらお花見の場所取りなど雑用に当てはまる。こういったものは確かに契約にはない。従って給与は出ない(とクソ上司どもはおっしゃる)のだが、なぜか強制力がある。断っても「業務命令」「これも仕事のうち」とのたまう。仕事のうちなら給料出せよ。何タダでパシろうとしてんだよ。労働者は奴隷じゃないぞ?君たち社畜どもは恥ずかしいプライドを持って奴隷だと自負してそうだが。上記の写真は、その雑用のため、なんと有給休暇を消費して、徹夜でやらされている図である。どうやら彼らが務める会社は「有給休暇は契約書に規定されていない業務命令に対する給与(=こういった業務命令は通常無給)」とか「深夜労働も支給給与は一緒(=割増賃金なし)」という、法律をも恐れないご立派な考えをしているようだ。ああ、恐ろしや。
社畜どもは何を考えているのか
以上、社畜どもが言ってくるダブルバインドを列挙した。何のために社畜どもはダブルバインドをかますのか。やっぱりタダもしくはそれ同然のはした金でパシるためか、自分が奴隷になったのだから他が楽するのは許せないとか、そういうお下品な考えだからじゃないのかな?うん、でもさ、君が奴隷だからって、こっちが奴隷にならなければいけない法律なんてどこにもないよ?そんなに「奴隷量産法」を作りたいのなら、自分たちだけで国を作って、一生ご主人様との間で、ご主人様気取りをしながらマゾプレイをしていればいいのに。というか、こっちを巻き込まないでくれる?こっちはさっさと抜けだそうとしているんだから。
*1:欠勤連絡の方法も日本らしく馬鹿馬鹿しいしきたりがある。なんでも電話でしか認めないとのこと。ここでは題がそれるのでこれ以上言及しない。
*2:【最低賃金】先進国中で「最低の賃金」の日本。日本人は労働者をバカにしている政府にもっと怒るべき。|井を出た蛙の生中継