教員に大会出場など要求するな
中学・高等学校では、やたらと部活動に熱を入れていて、中には大会出場をさせるところも多く存在する。しかし、これは生徒にとっても教員にとっても悪影響でしかない。ここではその理由を考えたい。
なぜか学業より優先される部活動
多くの中学校・高等学校で存在する「部活動」。学業とは無関係で、給料が出ないので教員もやる必要はない。が、なぜか生徒側には入学時強制的にどこかしらの部活動に加入させられることとなっている。*1で、途中退部した場合、ただ部活動の中でやりたいことがなかっただけなのに、すぐに教員間に噂が広まり、なぜか周りから問題視され、また転部も簡単ではない。*2
教員の側に立っても不可解だ。給料も出ないのに、「校務分掌」といわれ勝手に任される。おまけにその教員の知識や適性などほぼお構いなしで欠員が出たところに放り込まれる。このせいで教員はただですら教科指導で大変なのに部活動についても勉強しなければならなくなる。辞めた生徒は問題があるという偏見を押し付けられ、そういった生徒に指導しなければならなくなる。このせいで深夜帰宅が続き、過労死してしまった教員も存在する。
さて、その部活の延長線上で、大会がある。全国・世界大会に出れるのはごく限られているが、地区予選くらいなら大体どの学校も出る。これに出ろとか、これで優勝しろとか、全国大会に出ろとかウルサイモンスターペアレンツのおかげで、やたらと部活動が大変になる。そのせいで生徒は授業中寝たり大会の日を公欠にしたりで学業がおろそかになり、教員は教材研究の時間が無くなったりこいつらの圧力のせいで実力の上がらない生徒にストレスや不安を感じて体罰に走ったり。学業の息抜きとしてゆるーくやるのが部活動のはずだが、なぜか学業より優先順位が高くなっている。
このような状態は本来学校が教科指導を行うところという観点から不適当なものであり、生徒・教員ともに悪影響を及ぼしている。そこで、ここでは部活をゆるーくやり大会出場を目指さないことの利点を生徒・教員両方の視点から考える。
生徒は学業に集中できる
そもそも本来は、学校は学問を提供するところであり、部活動はそのおまけというか学業の息抜きである。従って学問を究める気がないのなら去るべきで、また部活動が学業に優先していること自体がおかしな話だ。
部活動が夜遅くまで続いていたり、朝早くの登校を強制されたせいで授業中寝たり考えがまとまらなくなったりするのは、そもそもその部活動自体に無理がある。部活動のせいで学業がおろそかになるのは本末転倒だ。学習指導要領で規定された「主体的に学びに向かう態度」などは達成できるはずはない。
これは過酷な練習による疲労や睡眠不足が原因であるが、もしこの原因の部活がなければどうなるか。生徒は学業に向かうことが出来る。あるいは十分な休息の時間を設けることが出来る。これにより勉強のパフォーマンスがさらに高まるものと推測される。
これ以外にも、生徒の健康を維持することも可能になる。ある高校では、甲子園に出るため過酷な練習を続け、結局肩を壊してしまった人もいる。けがは一生ものの負債だ。こういう過酷な練習をやめるだけでも健康も維持することが可能になる。
教員は過労にならずに済む
教員の側にとっても、本来教科指導が仕事のはずの教員が部活のせいで教材研究・教科指導に充てることが出来る時間が少なくなったり、そのせいで休息ができなくなり過労死するのは大きな問題だ。
そもそも教員は教科指導がメインなのであるから、部活はあくまでおまけ程度、あるいはそもそも担当しない、と断固拒否するくらいでないと教科指導や教材研究に十分な時間を割くことが出来ず、これらのクォリティも高いものとはならないであろう。
同様に、いろいろ立て込んだせいで過労死するということは労働者の人権含む各権利を蹂躙しているとしか言えない。教師は聖職者でも奴隷でもない。一般の労働者である。従って定時の設定とその遵守や残業代の完全保障、有給・育児休暇といったあらゆる権利が保障されてしかるべきだ。もし部活動が労働者の権利を侵害するようならばそもそもそれは存在してはならず、即刻廃止すべきだ。廃止することにより教員の労働者としての生活が改善されるとなるととても良い効果といえるであろう。
正しい部活動の在り方
ここでは、生徒の学業も教員の業務・生活を圧迫しないように、部活動のコンセプトを考える。一言でいうと「ゆるーくやる部活動」である。すべて生徒・教員の疲労を少なくし、彼らの本分に時間を当てられるようにする。
- 開始・終了時間を定める。放課後の活動は、終業後から17:30まで、後片付け含めて17:45までには完全撤収できることを原則とする。また各人の十分な睡眠を確保するため、朝練習は絶対に行わない。参加欠席、遅刻早退は自由。また、これ以外の暗黙のもの含む強制参加活動が出現しないよう配慮すること。
- 激しい運動など、生徒の健康を損なうことは行わない。
- 基本的に大会は目指さないスタンス。みんなで楽しくやればいいや、くらいで。また、本来やりたかったことを十分やらせるため、1年に球拾いをさせるといった学年などによる差別は禁止する。
- 加入、途中入部、転部、退部などはすべて自由で、容易にできること。また、これらを行ったことで学校内での身分や権利に影響がないようにする。
- 基本的に生徒が自主的に組織し自主的に行うもの。教員はかかわらないか、希望する場合希望する部活指導に就け、かつその場に立ち会うだけでよい。希望教員がいない場合は外部の指導員を雇用すればよい。彼らは正規職員とする。*3
大会に出したい?なら個人で勝手にやれ
「うちの子は全国大会・オリンピックに出させる!」「絶対優勝!」などと寝てもいないのに寝言を言うモンスターペアレンツに言っておく。そもそも教員はそこまでいかせるほどの指導能力がない場合がほとんどだ。また教員はそれ以外で忙しい。そんなことを頼むなら他を当たれ、といいたい。
もし自分の子にそこまでの実力があると思うならプロテストでも受けさせたり、エリートアカデミーにでも入会させたらどうだ。そこには凄腕の指導者がいるから。それと、学業に優先してまでそういうことをやらせたいのなら、学校をやめさせろ。学校はそういうところじゃない。
それと最後に。本当にあなたのお子さんはそれを望んでいますか?大して才能もないのにあなたたち毒親が強いるせいで神経をすり減らして過剰に努力しているだけかもしれませんよ?まずはあなたもお子さんも第三者と面談が必要です。一つはお子さんの意思を確認するためで、もう一つはあなたの狂った思考をカウンセリングするためです。