日本社会の疑問を考えるブログ

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イタリア留学記(中編)

 前回までは、日本を出発しトレントに到着するまでを書いた。ここでは、トレントでした活動について簡単に書いてみたい。

序:事前準備

前編:日本出発~現地到着

中編:現地での活動(この記事)

後編:現地~帰国 

まとめ

 

 

ルームメイト

 宿舎は食事はないがキッチンがあるマンションであった。どうやら大学側から知らされていたようで、チェックインがスムーズに済むとともに、大学からの資料を受け取った。中にはバスと学食(昼食+夕食)のタダ券、イタリア語の頻出フレーズ資料、おすすめレストランの資料などが入っていた。

 

 指定された部屋へ行くと、ルームメイトが先に入っていた。ベトナムから来た人らしい。もう一人はドイツ人であるが、到着が夜遅くになるそう。*1

 

ベトナム人

向こうはかなり好意的に接していてくれてはいたが、経験上しばらく話すと一人になりたい身としては、連続的に会話しなければいけない状況に疲れを覚えた。また、歩いていると突然飛行機の真似をして奇声を上げながら走る、宿舎の前の池を飛び越えようとする、シャワー中大声で「恋のマイアヒ*2を歌いだす、初日から強い酒を飲んでいる、など心配な面も多々あった。特に、後述の日本料理店に彼を連れて行ったのだが、その道中で「食べるときくらいは静かにしてくださいね」といったのだが、「はいはーい!!ナマステー」(ベトナム語でもこれに対する返答でもない)などといわれ、先が思いやられる気分になった。

 

ドイツ人

 あまり話さなかったが、講義での様子を見る限り、ドイツ人のナチス時代及びその結果としての戦争に対する反省がかなりなされている節が見られた。というのも、手を挙げる際、前方に向けて手の甲を見せている(腕を180度捻っている)。腕を捻らずに手を挙げると手のひらが前方を向くようになるが、これはアドルフ・ヒトラーが行っていたポーズであり、またハイルヒットラーを意味するものであるからだ。

 

トレント大学のキャンパス

 人文学および社会・法・経済学系のキャンパスはトレントの駅近くにある。複数系統のバスもあるが、トレントの駅から歩いていける距離である。しかし、理系(物理・生物・情報学)のキャンパスは全く異なるところにある。5および5/系統*3のバスで20分かかる、250 m高いところにある。

 

トレントの交通

 バス網が発達しており、これで様々なところへ行ける。ただし、日本のように1回ごとに運賃を支払うシステムではない。トレント駅付近や一部バス停で一定時間乗り放題のパスを買うか、特定の宿に泊まったときのおまけに付いてくるタダ券を使って乗る形になる。スマホでも購入可能とのこと。

 

 Trenitaliaが運行する一部列車と、トレント駅裏のロープウェイもこれで乗れる。

 

トレントの気候

 温暖帯の日本とほぼ同じと思ってよいが、日本は湿潤気候、イタリアは地中海性気候のため、喉は渇く(飲料水の消費量が増えるだけで、不快なほど渇いたり喉が痛くなることはない)。自販機で500 mLの水を買うより、スーパーマーケットで2 Lのものを買う方がお得。

 

トレントの食について

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歓迎会で飲んだ酒。オレンジが浮かぶ橙色の液体を、お玉ですくって入れてくれた。

 

 イタリアはピザで有名だ。従って、ピザ屋もしくはピザを置いているレストランがたくさんある。しかし探してみればパスタやシーフードなど色々ある。日本食レストランもある。

 

 日本は水は無料サービスだが、イタリアはそうではない。大体750 mLで1-2ユーロ。そのかわり、レストランによってはパンが無料サービスで出てくる。

 

 メニューはもちろんイタリア語だが、頼めば英語のメニューも持ってきてくれたり、なければGoogle翻訳を使って理解することができた。また、店員さんは誰もが英語に精通しており、英語でコミュニケーションすることも十分可能だ。

 

Google翻訳の使い方

ブラウザ版を使うと1回ごとに入力する必要があるので、面倒だ。そこで、Google翻訳のアプリや、GoogleアシスタントGoogle Lens機能の翻訳モードを用いる。この機能では文字を読み取って翻訳してくれる。文字の上に訳文がかぶさる形で表示され、カメラを動かせばそれら文字も動き、視界に入ったほかの文字も翻訳される。

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例えば、このドイツ語のテキストを撮影すると

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このように翻訳結果が上書きされる。

 

 ただ、日本の感覚で行くと上手くいかないこともあった。日本ではラストオーダーが閉店30-60分前くらいだが、この感覚でレストランへ行っても「もう閉店です」と断られた。これはこれで、イタリア人が自分を大切にすることで他の人にも過剰サービスを強要しない寛容な精神を培ってきたものと十分評価できる。

 

イタリアのレストラン

閉店3時間前には入店しよう。

  

 もし、外食に飽きたらスーパーマーケットへ行って食材を調達し、自炊すればよい。ジャポニカ米を除き日本と変わらないものが、格安で手に入る。また、日本料理店(寿司以外もメニューにある)が複数ある。私が行ったところを例示する。

www.tripadvisor.jp

  

 最終日には、パスタと大根の揚げ物のようなものを食べた。

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トレントの治安

 ミラノに比べたら不審者や押し売りみたいな人はいなかった。夜中洗濯のため出歩いたが、特に被害は受けなかった。おそらく観光客は地理的な知識がなく大都市圏にしか行けないから、そこを狙っていると思われる。

 

週末観光記

 案外体力的に余裕があったので、週末の昼過ぎ、列車に乗って隣町ヴェローナへ行った。直通列車として他社の車両が入線するのは日本でもよくあるが、複数国の車両が来るのには驚いた。また、号車番号が統一されておらず、おまけに3桁の号車番号が付いていることがあることには疑問を持った。実際、トレントからヴェローナへ行く際はオーストリア連邦鉄道(ÖBB)、ヴェローナからヴェネツィアに行く際はスイス連邦鉄道(SBB)の車両に乗車した。

 

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ヴェローナにあったコロッセウムらしいもの

 まず、ヴェローナでは2時間ほど時間を取り、簡単に観光の上食事をとった。食事に1時間30分かかったせいで、観光が15分くらいしかできなかった。走っても列車に間に合わないと思ったが、列車が10分遅れていたおかげで間に合った。せっかくなのでトイレへ行くと、なんと有料であった。

 

Trenitaliaの駅のトイレ

有料である。「寄付をお願いします」でなく、お金を払わないと入れない。1回1ユーロであるが、1ユーロちょうど出せなければ、横の両替機で両替すること。おつりがくるだろうと思って2ユーロ硬貨を入れてしまうと、ゲートも開かずお金も返してもらえない。

時間がないなら、特急電車なら車内にトイレがある。

 

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Trenitaliaの駅のトイレの入り口。くぐれるかな?

 そのあと、ヴェネツィア・サンタルチア駅へ移動した。ミラノと違い、押し売りをはじめとした不審者は見当たらなかった(その代わり、日本でも駅前で目にする、無言で本をもって立っている宗教勧誘の人はいたが)。とりあえず気ままに散歩をしていると、道に迷った。船乗り場に出ても、船の切符が買えず乗ることができなかった。なんとかGoogle mapの力を借りて駅前に戻ることができた。

 

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ヴェネツィアの路地裏

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路地裏でも水路がある(ただし、そこを通る水上バス路線はない)。ちなみに、ヴェネツィア劇場版ポケットモンスター「水の都の護神 ラティアスラティオス」の元ネタとなった場所であり、作中でも似た場所が描写されている。

*1:一応ミュンヘン中央駅からトレントまでの特急はあるが、Flixbusと呼ばれるバスを用いて来たそう。

*2:この歌を私が知ったのは2000年代初頭のFLASH黄金時代であったため、2ちゃんねる発の空耳歌詞が強烈に頭に残っているので、原語歌詞を知っても覚えられないだろう。「めざせモスクワ」(=もすかう)も同様。

*3:5系統は、理系キャンパスの横まで来ないか、来た後Uターンして他所へ行く。5/系統は大学前で終点。