イタリア留学記(まとめ)~海外のススメ~
合計4回にわたり、イタリア留学の出来事をつづった。今回は、そのまとめとして海外留学(海外インターンシップ、長期旅行など含む)に関する私の意見を述べたい。
まとめ(この記事)
留学の動機について
私の場合、「日本が嫌いだから、将来的な海外移住を見越して海外を体験したい」というのが動機だった。結局のところ、動機は何でもよい。私と同じように日本が嫌いだからでもよいし、息苦しい生活から一時的にでも抜け出したいというものでも、どこの国でもよいから一度海外を見てみたい、というものでも何でもよい。要はファーストステップを踏み出せればそれでよいのである。
私も、様々な人から
・「お前はまだまだだ。上司の推薦があってからいけ」←上司と私は仲が悪く、そんなものを待っていたら永遠に行けません
・「日本でうまくやっていけないのに外国で暮らせるの?」←日本で暮らすことと海外で暮らすことは全く別のことです
・「海外は危なくないか?」←日本だけが安全というのは幻想です。実際警察未発表の性犯罪など多いですし、警察がやっている場合もありますし
などと言われたが、無視して留学してもさほど上記のようなことは起きなかった。上司の推薦がなくとも現地のプログラムに問題なくついていけたし、むしろ海外の方が住み心地がよかった。海外の危険性についても、怪我もせずましてや死にはしなかったので問題ない。
このように何かと足を引っ張ってくる人やインターネット上の記事が散見されるが、結局のところ無視してしまって問題ない。結局のところ彼らは周りの人間のレベルを落として安心しようとしているだけだから。同様に「失敗したらどうするんだ」という意見もあるが、あきらめたところでバッドエンドが回避される保証はない。大事なのは他人がどう経験したか・どう考えているかでなく自分はどうしたいのか、である。
ただし、志望理由の中には直接書類選考や面接などで表現すると落とされてしまうものもあるので、選考過程では留学窓口の人間にウケるような建前(心にも思っていないことでも問題ない)をつける必要がある(日本の機関による選考を通さない場合は建前を考えなくてよい)。例えば
・「このプログラムの○○というところを利用すると、私の研究の××に応用が利き、・・・という成果が得られます」(自分の研究とプログラム内容を具体的に洗い出し、繋げてしまう。無理やりでも話を盛っても、ウソが入っててもよい)
・「(希望留学先)には○○という問題があり、日本で発達している××の技術を利用すればそれが解決すると考えています。もし留学させていただけるのであれば、派遣先でその技術の応用法を考え、それを提案させていただき、(希望留学先)の問題の改善に一役買わせていただけたらと思います」
・「私は将来(希望留学先)での起業(orの部署への配属)を希望しており、そこで現地の文化や生活様式を学ぶことで、そのときの行動指針にさせていただければと思い応募させていただきました」
要するに、選考では意識の高そうなことをテキトーに言っておけば実際の動機などなんでもいい、合格すればこっちの勝ちということである。
語学能力・知識・経験について
海外渡航を躊躇したり反対したがる人に言わせると「語学は完ぺきにしておかないといけない」とのことである。確かに何もしゃべれないのに渡航するのは問題であるといえよう。しかし何も完ぺきにする必要はない。目安としては、中学卒業程度の英語(英検3級レベル)が話せてそのレベルの文法がわかっていれば問題ない。現地の言語は観光用の小型本を使えば知識無しでも問題ない。
それに、交通と現地での生活、プログラムで外国語をしゃべる機会は山ほどあるのだから、そこで実践しながら身につけていくこともできる。
もっと言うと、学校で英語以外の外国語にはほとんど触れていないからと、留学先を英語圏に限定する必要もない。「えー、あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」とかいって逃げる人ばかりのどこかの島国と違い、どこでも英語は通じる。現地語が難しいなら英語を使ってOK。
同様に、現地の経験は必要ない。現地で一から学んでいけばよい。
現地の知識については、交通機関の利用(空港と都市部の交通、派遣先までの交通)と治安(近づいてはいけない場所)およびその対策を調べておけばよい。あとは現地で身につけるながら調べていけばよい。
「語学留学」はどうなのか?
「語学は完璧でなければならない」と言う人に言わせれば、「語学留学はナンセンスなもの」ということになる。
しかし、語学など完璧でなくてもよいため、語学留学も選択肢の一つだとは思う。それに、プログラムに加えて現地での生活で英語と現地語を使いながら身につけていけばよい。
予算について
大体、
往復航空券が10万円
2週間現地で暮らすなら余裕を持って10万円
あとはプログラム参加費や宿泊、現地交通費などがかかる
↓
2週間で30万円ほどあればOK
支払い方法を多様化するため、デビッド(クレジット)カードも持っておこう。
格安予約サイトについて
いろいろな予約先がある。
・旅行代理店
・航空会社
・航空連合(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチーム)
・その他予約サイト
この中で、Expediaといった格安予約サイトがあるのだが、安いのはそれなりの裏事情がある。例えば
航空券
・評判のよくない航空会社(アエロフロートロシア航空、S7航空など)を利用
・とんでもない出発、帰国時間→例えばエミレーツ航空。航空会社そのものは「あたり」なのだが、羽田だと出発・到着ともに夜中の0時過ぎ*1
・格安航空券のため、変更や払い戻しができない
その他
・ホテルがドミトリータイプ(個室でない)、もしくは駅や空港から遠い
・日本人向けヘルプデスクであっても、なぜか日本語をよく話せない方が電話に出てくる
最後の一つ以外は、予約時に避けることができる。どの航空会社を使い出発・到着時間はどのくらいか、ホテルは内装や外観が写真付きでわかるので、明らかな地雷は避けられる。これさえできれば格安予約サイトでも十分。
...え?これらが見れない?そういうサイトはすぐ閉じろ。
現地の生活について
基本的に、日本の生活とほとんど変わらないと言っても差し支えない。せいぜい食事の内容と公共交通機関の利用法が変わる程度である。
結局のところ、これらに加え、コインランドリーと電源設備を確保しておけば問題ない。
日本と違う点で様々な葛藤や不満を感じるだろうが、これもいい経験である。
個人行動・集団行動の選択
プログラムにより、参加者の人数や国籍(とその割合)が異なり、場合によっては日本人がいることもあるが、彼らとは(少なくとも渡航中は)関わらないようにしよう。関わってしまうとそれが馴れ合いとなり、結局は彼らとしかかかわらなくなってしまい、海外渡航の効果が薄くなる。というのも、海外渡航の醍醐味は海外の人や文化・食などに触れてみることであるからだ。また、日本人同士の陰口や足の引っ張り合いから離れてみるいい機会になるからだ。
同様に、プログラム時間外の自由時間は、知り合った自分と国籍や文化・言語を異にする人たちとたくさん付き合ってみよう。ただし、行動のすべてを彼らに一任せず、主張すべきところは主張してみよう。
一方で、単独行動も経験してみよう。例えば、一人でレストランへ行ってみて、「一人です」と言ってみたり、注文や会計を一人かつ外国語で行ってみるのも貴重な経験だ。
もっと言えば、日本人参加者の少ないプログラムを探すか、初めから一人で渡航してみるのが一番良いのだが。
コミュニケーション
思っているほど外国人とのコミュニケーションは難しくない。現地語か、多国籍プログラムなら英語が話せれば何の問題もない。あとは、最低限してはいけないことを把握(もちろん現地での調査と並行してよい)すればOKである。要は人の嫌がること(彼らに対し犯罪行為を働く、暴力をふるう、意図的にけなす、など)をしないことと宗教・文化・思想・身体的特性等で禁忌とされていることから彼らを保護するよう(例えば、ムスリムに対しては豚肉を食べさせないようにするなど)配慮することだけでよい。後者など初め会った時に自己紹介する機会があるのだから、そこで知ることができる。
そして、言語も文化も何もかもが違うのだから「察する」必要がない(できない)わけである。要するに何かを伝えたいときには言葉をその通りの意味で使うことになる。変に考え込まなくても言葉通りに解釈すればいいし、逆に自分が何かを伝えたいときは「察して」なんていう劣高等テクニックを使わずに思っている通りに言葉に起こせばいいだけだ。同様に、言葉がコミュニケーションの全てなのだから、知らずに地雷を踏みぬいてしまうことがない。
日本のコミュニケーションの方がずっと大変だ。ちょっと上に意見を言うこと、多数派に異を唱えること、権力に疑問を持つこと、不合理な伝統より優れた行動をする、などなどいろいろなことがOUTという、地雷原の中でおびえながらコミュニケーションをとるのだから。
差別・犯罪について
様々な人が「黄色人種(アジア人)差別を受けた」とか「海外は犯罪天国だ」などといっているのを聞くと、日本だけが安全でそれ以外はまるで犯罪都市のように感じるだろうが実際はそうでもない。
私の場合、2週間で特にそのような差別を受けることはなかった。留学したころは中国から日本に新型コロナウィルスが流れてきたころであり、空港でアジア人差別を受けるなんてことを聞いていたが、特に荷物のチェックインも搭乗手続きも問題なく進んだ(日本の旅券を見せるのだから日本人と分かるはずなのだが)。
結局のところ、犯罪が多いのは特定の地域だけであり、そこさえ避ければ何の問題もない。最も、有名観光地の隣がスラム街なんてこともあるので最低限の注意は必要だが。*4同様に、こちらが差別的言動をしなければ差別に出くわすことなどほとんどない。ただし、犯罪にあった時は警察への相談を忘れずに。
それと、日本だってクリーンな国なんかじゃない。隠ぺい&正当化によってクリーンに思い込んであるだけである。性犯罪を警察に相談したらまともに取り合ってもらえず泣き寝入りするしかなかったり(もちろん犯罪件数にはカウントされない)、差別的行動をする個人や組織がやたらと多くいる。在特会や日本第一党*5などその代表例だし、各種災害時にはデマを流して*6無理やり貶めようとし、本人に何の落ち度もないのに差別をしだすのが日本人である。今回のコロナ騒動なんか、医療関係者や感染者がいわれのない差別を受けているし。
これらを総合して考えると、日本の犯罪や差別の方がよっぽど怖いし不愉快です。
「海外かぶれ」について
「海外かぶれ」とは、海外へのあこがれもしくは経験から自分が知った思考や行動などを日本に持ち込んで実践する人を揶揄した言葉であるが、これを各種検索エンジンに打ち込んだ時のサジェストがこれまた汚染されている。
「海外かぶれ」と打ち込むと
・イタい
・ブス
・うざい
etc.
それだけ、そんなことをほざいている日本人が書いたページが人気であるのだが、こう見ると海外かぶれは悪いことのように思えてしまう。しかし、海外かぶれは何の問題もない、むしろ進んでなるべきだと思う。
海外かぶれ、というのは日本と海外を比較することによって日本文化や慣習の不合理さや不便さ、改善すべき点が見えてきたからそれを発信しているのであって、本来はそのような問題を直ちに改善すべきであり、「日本の文化なんだ」「嫌なら出てけ」などと正当化したり、今回のように海外かぶれだと揶揄するのはもってのほかである。
まぁ、日本人は昔から権威・伝統・多数派は絶対正義だと教え込まれてきたのだから、それを崩されると自分のアイデンティティが壊れるから許せないんだろうけど。いわゆる妬みってやつ。とりあえず、海外かぶれは何の問題もなく、たたいてくる人はねたんでやっているのだから気にしなくて大丈夫。
まとめ・とにかく一回出てみよう!!
以上、海外渡航について私の意見を述べた。総じて、海外は何も怖くなく、やろうと思えばすぐにでも住める場所で、外国人とだって簡単に仲良くなれるのだから住めば都であるといえる。
今、海外へ行こうか迷っているのであればとにかく行ってみるといい。絶対にあなたの身になる経験が積めるから。
*1:EK312便の羽田到着は22:45だが、これは「滑走路に着陸する時間」なので、ターミナル到着まで15分ほど、荷物を受け取るまで1時間、税関手続きや検疫などでさらにかかる。到着ロビーに出れる頃には電車もバスもない。
*2:先述のエミレーツ航空で羽田からミラノまで行くとなると、ドバイ国際空港での乗り継ぎが1時間45分。搭乗終了時刻を考えると、ほとんど時間がない。
*3:例えば、アエロフロートロシア航空でシェレメチーボ国際空港経由となると、翌日のフライトになることも。
*4:日本も例外ではない。例えば、某有名高層ビルがある地区の隣が日本では禁止されているはずの性風俗街であったり(ファシスト的な某有名弁護士が「料亭だ」「自由恋愛の一環だ」などとほざいて抑え込んだからなのだが)、某有名ターミナル駅の隣がヤクザ&ボッタクリ街だったりする。