先日、日本の問題点を指摘する人を感情的に非難したがる人を批判する記事を書いた。これに関連して、なぜか日本には「日本人ならば日本大好きで当たり前」という考えの持ち主がいることに驚く。
どこから突っ込んでいいものか…
まず「日本はあらゆる面で世界一だ」ということに反論しようか。経済成長率でいえばアメリカや中国、インドなどにすでに追い抜かれている。研究力も低下しており、100年以上前に開学した東大*1を1970年代に開学した韓国科学技術院にも先を越されている。この研究力低下については、Nature誌で問題視されるほどだ。*2そのほかを比べても到底「世界一」などということはできない。
「世界から愛される日本」「日本を批判するのは中韓人」についても疑問が残る。今までこびへつらってきたアメリカ様(トランプ)が日本を批判しだしたのだ。このほか、日本を批判するものは理由はどうであれ世界各国一定数いる。つまり中国・韓国人とは限らないし、それより少ないという統計的なデータもないだろう。偶然マスメディアがセンセーショナルに取り上げてしまったことが原因である。
「日本が嫌いなのは中韓・日教組のせいだ」も疑わしい。後述するが、日本の現状を見てもそう言えるのだろうか?
自分から日本が嫌いになることはあり得ないと?
ブラック企業に矮小化する福祉、差別発言を繰り返す政治家…。他にもいろいろと劣悪な日本の実像が見えてくる。もちろんこれは日本社会自体が生み出した膿そのもので、中韓や日教組のネガティブキャンペーンが原因ではない。さて、この実情を見てどうして日本を好きになれというのか。よく匿名掲示板で「他の国はこの点で劣っている。だからさらに生きにくい」と他国を下げることで納得させることが行われているが、そうしても外国が下に落ちるだけだ。日本の悪い点は浮き彫りになったままで、好きになれるわけがない。いや、むしろそれを見ていると日本人は差別主義者と考えますます嫌いになるだろう。
*1:改組前の旧開成学校および東京医学校を含む。
*2:Relative gain およびJapanese research leaders warn about national science decline : Nature News & Comment。前者は「小さくともキラリと輝く」などと結論付けてはいるが、長く続くものではないだろう。