日本社会の疑問を考えるブログ

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有給休暇が自由に使えるか知る方法

 ここ日本では社畜と呼ばれる奴隷どもが取得することに強い嫌悪感を持つ「有給休暇」。そのせいでまともな労働者すら取れなくなるという迷惑をこうむることがある。そこで、ここでは有給休暇が自由に使えるか調べる方法を提案したい。

 

 

10日間連続取得してみる

 手っ取り早い方法としては、とりあえず長期間連続で取得することを試み、どのくらい足を引っ張られるかを調べる方法がある。「10日間」というのは、正規雇用者もしくは同等の日数程度勤務する非正規雇用*1が勤務から半年で初めて付与される有給休暇の日数である。

 

 これを取得した際、以下のようなフレーズが出るだろうか。出た場合、それは有給休暇を自由に使えないサインである。

・「そんなに休んで迷惑だとは思わないの?」(全然。迷惑になるなら人員を増やせばいいだけの話)

・「業務に支障が出る」(同上。時季変更権の行使は、慢性的な人員不足では認められていない)

・「ずるい!」(だったらあなたも取ればいいだけでは)

 

なお、以下のフレーズが出たら確実に労基法違反なので、関係各署に通報するなり、録音してSNSに社名を公表してしまおう。#拡散希望も忘れずに。

・「ウチは○○業だから有給休暇はない」(有給休暇は業種によらない)

・「アルバイト(契約社員、派遣なども同様)に有給休暇はない」(有給休暇は雇用形態によらない)

・「そんなことすると会社がつぶれる」(なら潰れろ。そのための福祉がある)

・「会社にも時季変更権がある」(後述するが、時季変更権の行使には極めて厳しい条件がある)

・「だったら辞めろ!」(会社都合退職でお願いします。失業保険が多くもらえるので)

 

色々な理由を試してみる

 これは、各ニュースサイトやSNSなどでたびたび話題に上がることである。

 

 以下に挙げるような、(ブラック経営者と社畜にとって)不要不急でないことを理由にして有給休暇を取ってみる。参考までに、理由の例を挙げる。

(経営者と社畜にとって)有給休暇を取る適切な理由

・怪我及び病気

・身内の不幸

・休日出勤、社内行事の給与を発生させるため

 

(経営者と社畜がなぜか怒る)有給休暇の理由

・ゲームの発売日

コミケ

・Poppin Party*2のライブ

 

・国家資格取得に関する実習*3

・家族や友人の都合(両親の見舞い、結婚式など)

・宗教行事

 

・なんとなく(休みたいから) もしくは 黙秘(未記入)

・その他、上記の「適切な理由」に当たらないもの

・認めてもらうために「適切な理由」の建前をつけることになる

 

 理由による束縛を確かめるには、前者のカテゴリーに該当する理由で有給休暇を消費させられないか、あるいは後者のカテゴリーの理由で有給休暇を取得できるか(どういった反応が返ってくるか)どうか実際に申請してみて検証するのがよい。

 

他の休暇などで代替できないものか?

 前者のカテゴリーで挙げたものは、全て他の休暇制度を用いることなどで有給休暇の消費を避けることができるものである。怪我や病気は傷病休暇があるし、身内の不幸なら忌引き休暇がある。また、有給休暇は文字通り「休暇」なのだから、休日出勤の給与を発生させるため*4でも強制力のある行事*5の為に使うものでもない。

 

 こういう会社は、有給休暇をとらせないために、労基法に関するリテラシーのなさを利用している。

 

個人的な理由だとダメなのか?

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 後者のカテゴリーは実はこのように3つに分けている。

(A)1,2,3個目:趣味関連

(B)4,5,6個目:先述の制度利用要件には当てはまらないが、重要性の高いこと

(C)7,8,9個目:その他

  

 まず、有給休暇は傷病休暇などと違い取得理由には制限はなく、従って理由によって取得の可否を決めることは違法である。このため、カテゴリー(A)は理由が不適切だと物言いをして有給休暇取得を妨げる権限は経営者や、ましてや労働者に過ぎない社畜にあるわけがない。ずるいと思うならば同じことをすればいいだけの話である。1人欠けようが現場は回るし現場の機能がストップするなら経営者の人員配置に欠陥がある。

 

 カテゴリー(B)については、このようなもののために使う制度があってしかるべきであるが、ここではないために有給休暇を使うと仮定する。家族の事情で会社を休むのはあって何の問題もない。会社より家族が大事なのは当然である。所詮会社など自分にできることを他人にして金をもらうだけであるから、それ以上の感情はない。というか、自分たちより会社を優先されて喜ぶ家族などいるわけがない。それで家族が死んだら会社に家族を殺されたといっても過言ではない。

 

 資格取得、とりわけ国家資格については、とても重要なことである。あることをするにあたり十分な知識や技能があると認められることであり、信用性やキャリアに関わる。当然これら資格は取りたいといえばすぐにできることではない。難関の試験に合格し、あるいは大学に通い、ものによっては実習が必要になる。これを業務の支障になるからと妨げることは会社側が知識・技能を軽視していることに他ならない(自社内で認定しても公平性がなく信ぴょう性に欠ける)。また、業務と直接関係ない資格であっても取得してはならないはずがない。キャリアチェンジ・アップするのに必要になるためだからだ。

 というか、資格取得を妨げる会社はこちらの邪魔であるといっても過言ではない。大して魅力もない会社だから資格を取って逃げられないようにしているだけである。*6身も蓋もないが、逃げられたくないなら報酬と労働環境を改善すればよいだけである。

 

 宗教行事は、本人のアイデンティティに関わる問題であり、それを拒否すること自体は会社が個人の尊厳を蹂躙しているといわざるを得ない。ただ、宗教上の理由による裁判例も散見されるため、宗教行事自体はほかの理由と比べ理由として認められやすいし、その後の人間関係や有給休暇取得についても楽にはなる*7*8かとは思われる。

 

 最後に、カテゴリー(C)として黙秘する例やその他の理由が挙げられるが、理由など必要ないのだから理由を述べる必要もない。同様に建前をつける必要もない(最も先述の宗教行事を使う手もあるが)。*9

 

休暇終了後要求されるものはないか

 前項で述べたように有給休暇は用途が限定されない。したがってそれを証明する必要もないし、証明書類の発行・提出などを求める権限はない。

 

 また、圧力をかけて土産物などを要求することは言語道断である。土産物は個人の善意によって行うものであり、もらう側が強制するものではない。

 

有給休暇、勘違いしてませんか?

 これらは全て有給休暇と別の制度を混同していることによって起きており、結局労基法の理解が足りない会社である。故意であるなしは関係ない。

 

 参考までに、時季変更権の条件を記す。このように、時季変更権は簡単には行使できないものである。経営者や社畜は勉強しなおすように。

・取得者:そのポジションが欠けると業務がまわらなくなる場合。当然要職。報酬も非常に高いものになる必要がある。

・交代人員も確保できないこと。ただし、交代人員を十分に用意したうえで。交代人員がいない場合対象外。

・休暇希望者が殺到した場合。要するに何人かだけが休みたいという場合は、休暇希望者が集中してないから行使できない。

・急性的に発生した繁忙期であること。慢性的な人手不足のせいでいつも忙しいというのは理由にならない。経営者がどうにかしろ、ということ。

・休むことで事業がストップするくらい逼迫したものになること。例えば社内行事*10はいくら団結力が生まれるといっても経営には関係ないから使えない。

 

これらをすべて満たして、取得時期をずらしてもらえないかと「お願い」することのみができる。ただし、時季変更権を繰り返し行使して有給休暇を使わせないことはできない。

*1:年間労働日数が少ない非正規労働者はこれより少なくなるが、正規労働者と同様に全日数を連続取得してみるのがよい。

*2:μ’sでもシャニマスでも、社畜を怒らせるには十分である。

*3:例えば、放射線取扱主任者(Ⅰ種)は5日間、教育職員は2週間など。この間は実習に1日中従事することになる。

*4:これが合法なら、休日出勤は無給となってしまう。

*5:同調圧力や上司の言葉などにより心理的に圧力をかける方法は業務命令でないと言い逃れされやすいが、実質強制している以上労働と見なすべきで、給与を出すべきであろう。

*6:余談だが、「未婚者は無責任」という旨のツイートをした某企業の社長の考えも同様の作戦に基づいている。

*7:日本の場合、特定の宗教・宗派に所属して特定の神を信じる、という一般的な宗教の体系を取っていないため(ただし、神道においては神社本庁の信徒は約6-8千万人程度といわれる)、娯楽感覚で各宗教の行事へ参加するにとどまっており、信仰の意識は薄い。また、オウム真理教顕正会といった事件を起こす宗教が目立つため、教団特有の公式行事があったり会費を取られたりする宗教もしくはそれに積極的に参加しようとする人は異様である、と思われがちである。従って、宗教上の理由により有給休暇取得を強行した場合今後のお付き合いを避けよう、ということになり日頃の付き合い及びその延長線上である有給休暇取得に関わるやり取りもドライになってやりやすい、ということ。

*8:今回の話題とは関係ないが、私の場合「登校できないほどの傷病か忌引きのとき、それを証明できて初めて追試験(期末試験に参加できないときの救済措置)を認める」と言っていた大学に対し宗教上の理由を持ち出すと担当者の態度が軟化したことを確認している。

*9:理由の必要ない有給休暇で「適切な理由」でないと認めないといっているにもかかわらず理由に虚偽事項を書いて懲戒するのであれば、事実上有給休暇が特定の理由でなければ使えないことになり、労基法上有給休暇の理由が必要でないことに反し、時季変更権の濫用にあたる。

*10:会社行事に強制参加で有給取り消し!?旅行のキャンセル料は誰が払うか | 組織を壊す「自分ファースト」な社員たち 木村政美 | ダイヤモンド・オンライン