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イタリア留学記(序)

 2020/01/17から2020/02/02までイタリア・トレント大学へ留学をした。ここでは、その体験を日本出発から帰国まで時系列にまとめた。イタリアで体験したことを良い点・悪い点(特に失敗談)、初めての留学で知った海外渡航時に留意しておいた方がよいことを記述していくので、参考になれば幸いである。

 今回は、事前準備のみを記す。5日間に分割・連続して記事を投稿していく。

序:事前準備(この記事)

前編:日本出発~現地到着

中編:現地での活動

後編:現地~帰国 

まとめ

 

 

 

航空券の手配

 正直に書けば、事前準備の段階でいろいろとトラブルがあった。2019年9月には学内応募を締め切り、学内審査が始まるわけであるが、どういうわけか指導教員の承認*1が必要とのことで、もともと指導教員と仲が悪い私はなんだかんだで面倒であったが、何とか応募することができた。

 

 もともと留学自体募集人数が少ないのでダメで元々、と考えていたら、応募の約1週間後に学内選考を通過し、留学先への推薦+参加できた場合の給付型奨学金付与ということになった。その後、留学先の選考を受けた。*2こちらについても問題なく合格し、参加が決定した。

 

 留学先と宿舎は決まっているものの、そこまでの交通は自身で手配し、また引率者や同行者がいなかった。そこで、海外渡航経験がある人に話を伺い、Expediaでの手配がお勧め、と聞きそこで予約した。まずはミラノまでの往復航空券だけを手配しようとすると、なんとエコノミークラスでも20万円以上した。しかし、なぜかミラノでの宿を手配すると合計で8万円となった。したがって、ミラノへ行きそこで1泊してから翌日トレントへ向かうこととした。

旅行サイトでの合計料金について(片道当たりの料金ではない)

 

片道航空券>往復航空券>宿泊付き往復航空券

 

つまり、特殊な事情がない限り宿泊付きの往復航空券を買えばお得。旅程の途中でどこかへ寄るのなら、そこを経由する航空会社を利用するか、そこへの往復航空券だけを別に買った方が安いかもしれない。

 

宿泊先は、盗難防止や就寝環境を考え、個室で予約しよう。

 

また、旅行サイト以外にも、航空会社の公式サイト、航空連合(Star Alliance, Oneworld)の公式サイトやGoogle Travelを見てみるのもよい。

 

さらに、搭乗日をずらすと大幅に安くなることもある。

 当初予定していた利用経路では、羽田空港(HND)からエミレーツ航空を用い、ドバイ国際空港(DXB)を経由し、ミラノ・マルペンサ空港(MXP)に到着する経路であった。乗り継ぎ時間として2時間弱あった。簡単に空港の外に出て背伸びくらいはできるだろうと考えていながら調べてみると、どうやら2時間では観光や外出はおろか、シャワーなども難しく、軽食くらいしか余裕がないそうである。

 

 手配してよし、と考えていたが、帰国日程を再確認すると、航空会社のチェックイン締め切り時刻にはプログラム終了後すぐに出発しても余裕がない、つまり列車の遅延などで空港に遅れれば帰りの飛行機に乗れない、ということが判明した。おまけにこの航空券は安い代わりに変更・キャンセルができないというものであった。泣く泣く復路は放棄し、パリ=シャルル・ド・ゴール空港(CDG)を経由するエールフランスの便を、復路片道の航空券をHISで手配した。

 これだけで済めばよかったのだが、2020年の年明け、アメリカがイランの指導者を爆殺し、ウクライナの航空機が撃墜された。一応ドバイは特に渡航安全情報は出ていないものの、中東全体として注意せよ、との話がでた。特にこちらは気にはしていなかったが、家族が心配するので家族との話し合いの下、往路についても再検討することとなった。出発まで2週間を切っていることもあり、どこも非常に高額になっていた。唯一格安なものにシェレメチーボ国際空港(SVO)を経由するアエロフロート・ロシア航空があったが、トランジットに10時間以上かかり、そこでホテルに泊まろうとすると、1回入国することになり、トランジットビザが必要でロシア大使館に行く必要があるとのことだった。*3どうしようもなくなり、HISの代理店に駆け込んで事情を話すと、成田空港(NRT)出発でシンガポール・チャンギ国際空港(SIN)を経由するシンガポール航空の往路航空券を確保することができた。*4

利用航空会社選定のポイント

・安いか。無理に直通便を選ばなくてよい。乗り継ぎありの場合同一航空会社利用の方が安い。

・JACDEC安全度格付けで、3年以上安全度が7段階中レベル6以上となっている航空会社(これだけでも数十社ほどある)

・経由地について。そこの天候(フライトに影響が出ることも)や空港内のレストランやシャワーといった設備、トランジットが長時間になるときは宿についても合わせて考える。距離や治安(渡航安全情報など)、ビザは必要か(特にロシア)など。

・乗り継ぎ時間(後述)

どうしても決められなければ、旅行代理店で話し合って決めるのもよい。

 

乗り継ぎ時間について

2時間まで:軽食くらいしか余裕がない。

2-6時間:空港(入国しないこと)で休める。レストランやシャワーなどを探してみよう。

6-9時間:入国して観光可能。航空会社によってはツアーがあることも。

それ以上:宿の手配が必要。

 

トランジットビザ

ほとんどの国では短期滞在にビザはいらない。しかし、一部の国(特にロシア)や国籍の条件によっては宿に泊まるためのほんのわずかな入国でもビザが必要なことがある。事前に調べ、そのような国の経由は避けること。やむを得ないなら、それが判明してからすぐに最寄りの大使館へ行くこと(直前の申請はできない、手数料が多くかかるなどがある。また、大使館へ行くには事前のアポイントが必要なことも)。

 

準備したもの・こと

 ここでは、国内旅行にはもっていかないが、海外旅行に持っておくと意外と便利なもの、しておくと便利なことを書いていく。

コインランドリー・スーパーマーケットの確保

 何らかの形で大容量スーツケースを確保するのだが、受託手荷物に関し容量・重量の問題を考えると過度に大きいものは不適切である。このため、持っていける衣類の量には限りがある。洗濯できるように、コインランドリーもしくは宿舎内の洗濯設備を確保しておきたい。

 同様に、毎日外食ではお金がかかって仕方ないので、スーパーマーケットで食材を買って自炊できるようにしておきたい。

 

USB接続アダプター

 一応飛行機はコンセントがあるため、変換プラグと変圧器があればよいが、座席のグレードで有無が変わったり、そもそもないこともある。しかし、コンセントと比べ、より多くの航空機にUSBプラグがある。これを用いてスマートフォンといった各種電子機器を充電できる。

 

ボディーペーパー

 シャワーのある空港を経由するよううまく旅程をアレンジすべきだが、やむを得ずシャワーがない空港を経由することがある。ホテルを利用するほど時間がないとき、トイレの個室にてこれで体を拭き、着替えればよい。なお、メントール成分が弱いものを選ぼう。

 ボディーペーパーでケツを拭くなよ!!!痛いぞ!!!

 

イヤホン(できればノイズキャンセリング機能があるもの)

 最近の航空機は静音化が進んでいるとはいえ、やはりうるさい。従って、これを耳栓代わりにする。なお、航空会社の無料サービスに含まれるイヤホンはあてにしない方がよい。

 ノイズキャンセリング対応であればますますよい。

 

飛行機以外の予約とチケットの印刷

 飛行機の他鉄道や高速バスも、予約できるならしておき、チケットはすべて印刷しておこう。画面提示やスマホアプリでどうにかなることもあるが、電池切れを考えると印刷したほうがよい。

 ただし、予約するのは現地の往復最低限の分だけでよい。休日は無理せず寝室に引きこもり、観光は余裕が出たらやるつもりでいて、余裕が出たら当日買う、くらいでよい。

 

パソコン(大学を通じた留学のみ)

 奨学金受給などのため、大学との連絡や書類作成が必要なことがある。スマホよりパソコンの方が操作しやすい。

 なお、飛行機のエコノミークラスでは、テーブルや座席の大きさの都合上、操作できない。

 

留学先への配慮の要請(重要)

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 特に欧米では、自身の特性(障害の有無や種類、宗教、その他価値観)により何らかの配慮を受けることができる。私の場合、「聴覚過敏があるので耳元で大きな音や破裂音を立てないでほしい。また、道路やエアコンから離れたところに座れるようにしてほしい」と申し出たところ、「追加料金なしで寝室を1人部屋にする」配慮をいただいた。

 

 とりわけ日本では、このようなことを申し出ても「どこでもあるよ」「みんな同じだよ」*5「現実的じゃないね」しまいには「甘えだ」などといわれ何も配慮がなされない*6ことがしばしばあるが、欧米ではとにかく正直に頼んでみれば何かしてもらえる。

自身の特性と配慮依頼について

・「察してもらおう」とか「どうせだめだから普通の人に合わせよう」などと考えないこと。応募時特記事項に書くか、あるいはメールでお願いしてみよう

・配慮をお願いするときは、「自身の特性」と「どんな配慮をしてほしいか」の両方を書くこと

 

現地の言語について

 基本日本では英語以外の外国語を学ぶ機会がほとんどない。*7これと、日本での情報量の少なさにより日常生活と留学プログラムの両方で英語が常用できる英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)への渡航に選択肢を絞りがちである。しかし、それではあまりにもったいない。というのも、現地語が話せなくても意外とどうにかなるからである。

 まず、日本と違い大陸にいる人(とりわけ欧州)では英語が話せる人が多い。このため英語だけでも難なくコミュニケーションをとることができる(非英語圏でも英語開講の学科が多数ある)。また、案外簡単な現地語は少し住むだけですぐ身につく。頻出フレーズが書かれた本を当日読めば、簡単な会話くらいなら身につくし、日本で文法や単語を金と時間をかけて必死に勉強していくより実践的かつ効率的だ。日本人は「現地語が話せてから」と思いがちだが、そんなことするより一回渡航した方がずっとよい。

旅の指さし会話帳mini イタリア(イタリア語)

旅の指さし会話帳mini イタリア(イタリア語)

  • 作者:堀込 玲
  • 出版社/メーカー: 情報センター出版局
  • 発売日: 2009/07/05
  • メディア: 文庫
 

*1:署名と印鑑。これ以外にも大学院生は学内のあらゆることで指導教員に束縛される。これについては後日記事にする予定。

*2:学内選考を経由せず、直接応募もできたらしい。しかし、この場合参加費が450ユーロから1,000ユーロと約2倍になるうえ、大学からの奨学金もない。

*3:ロシアでビザがいらないのは、ロシア国内の空港に到着後、ロシアの空港では入国せずにトランジットエリアのみに滞在し、24時間以内に出発する次のフライトでロシアを出るケースのみである。

*4:当然といえば当然だが、復路片道の航空券を往復に予約変更することはできなかった。また、出発日が近いため、エコノミークラスでも料金が余裕をもって予約した時のビジネスクラスとほぼ同じになってしまった。

*5:一見この言葉、当事者に対する共感を表しているように見えるが、これによる生活上の苦しさを取り除こうとしていないあたり、ただ当事者にも不利益を強要しているに過ぎない。

*6:一応日本でも、法整備により「合理的配慮」というものがあるが、該当部署の人員・予算不足などにより、ただその特性をバラされただけであとは雑な対応をされておしまいとなるなど欧米諸国と比べまだまだ遅れている。

*7:中学校から学べるのは英語のみ。学習指導要領でも英語以外の外国語については「英語に準ずる」としか書いておらず、指導の難しさから中高では学べる機会がない。模擬試験や大学受験でも英語以外の外国語は受験できなかったり、できても英語の問題の一部を置き換える程度だったりする。結局学べるのはせいぜい大学の1年程度だけであるため。